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ホーム > しんきん経済レポート > 2011年No.6 中小企業の震災対策

中小企業の震災対策

東日本大震災は、未だ被害の全容が把握できず、日本国内に非常に大きな影響を及ぼしている。浜松地域では、震災による直接の被害はほとんどなかったものの、仕入先や販売先の被災による業務の滞りをはじめ、関東地域の計画停電の影響、自粛ムードによる売上げ減など、様々な間接的影響が出てきている。

 

下のグラフは、しんきん経済研究所が、浜松地域の中小企業に対して行った震災に関する調査結果の一部。調査時期は、2009年9月。東日本大震災を目の当たりにした今となっては、古すぎて参考にならないデータと思われるかも知れない。しかし、東日本大震災前の調査結果だからこそ、震災対策として足りなかった点が浮き彫りになっている。

グラフをみてみると、「事務所の耐震補強」「設備の転倒防止」「災害用損害保険への加入」といった、地震の直接被害に対する対策は比較的行われていた。しかし、地震の被害が広範囲に及ぶ場合の対策(「施設を分散し、他所で営業可能」)や、間接的被害(「原材料を他企業から代替調達可能」)に対する対策はほとんど行われていなかった。

今回の大震災は、あらゆることが想定外であったことは、やむを得ないだろう。しかし、いつ東海地震が発生してもおかしくない地域で経済活動を営んでいる我々は、東日本大震災の教訓を活かし、震災対策を練り直す必要がある。

 

なお、調査を行った2009年9月は、静岡県中部地域で起きた駿河湾沖地震(同年8月)の直後に行っている。防災意識が高いはずの時期なのに、「特に対策はしていない」と回答した企業も多いのは気がかりである。「天災」から派生する「人災」を少しでも減らすため、地域全体の防災意識を高めていかなければならない。

グラフ:中小企業が考えていた震災時の対策
本稿は4月21日静岡新聞「目で見る浜松経済」掲載予定です。 静岡県西部地域しんきん経済研究所とは遠州信用金庫と浜松信用金庫が共同で設立したシンクタンクです。

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