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ホーム > しんきん経済レポート > 2011年No.11 高校生の就職状況

高校生の就職状況

浜松市で就職を希望する高校生の就職状況がたいへん厳しい状況にある。6 月末時点の状況ではあるが、就職希望者1,838 人に対して企業が求める人数は531 人しかない。就職希望者数は毎年2,000 人前後と概ね横這いで推移しているのに対して、企業側が求める「求人数」は急激に落ち込んでいる。これは平成20 年秋に発 生した金融危機の影響が大きく、今もなお、企業が求人を抑制しているためである。

高校生の就職活動は大学生とは事情が違う。大学生が就職活動を行う場合、企業を探すのも応募するのも自分自身で行わなければならない。そのかわり応募する企業を自由に選択することができる。これに対して高校生の場合は、まず進路指導の担当教員が企業を回って求人の枠を獲得する。そして、高校はその枠に見合った生徒を推薦し、企業との面接を経て内定が決まるという流れである。複数の企業の求人を高校側も開拓するため高校生にもある程度の選択肢はあるが、大学生と高校生との企業を選択できる自由度には雲泥の差がある。

就職できず卒業した高校生がアルバイト・パートに就いた場合、そういった雇用の増加は社会そのものの不安定化につながる。そのためにも就職を希望する高校生が社会を構成する一人前のメンバーとなることは、本人のみならず地域社会にとっても重要な課題であるといえる。

企業においては今を生き抜くことも非常に大事ではあるが、将来を見据えて「人を育てる」といった企業の成長性や、地域経済への社会的使命を果たすといった役割においても継続して雇用していく必要があるのではないだろうか。もちろん、就職を希望する学生本人や学校そして保護者が今のこの状況を十分理解しておくことが必要であることは言うまでもない。

グラフ:高校生の就職状況

本稿は8 月18 日静岡新聞「目で見る浜松経済」掲載予定です。
静岡県西部地域しんきん経済研究所とは遠州信用金庫と浜松信用金庫が共同で設立したシンクタンクです。

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