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ホーム > しんきん経済レポート > 2011年No.15 『浜松市・静岡市』中心市街地の歩行量

『浜松市・静岡市』中心市街地の歩行量

静岡市ではJR静岡駅ビルに『パルシェ』が先月リニューアルオープンし、また静岡鉄道の新静岡センター跡地には商業施設『新静岡セノバ』が先頃開業した。一方、浜松市においても遠鉄百貨店の新館オープンを間近に控えている。明るい話でたいへん喜ばしいことだが、日中の浜松市の中心市街地では所々で空き店舗が目に付いたり、歩行者が以前と比べると随分少なくなった印象を受ける。一方で、静岡市の中心市街地は人通りも多く活気があり、全国的にも頑張っている市街地であると聞く。

では、実際のデータはどうなのだろうか。浜松市と静岡市の中心市街地の盛況度合いを歩行量で比較してみた。調査はいずれも日曜ながら調査日や時間帯、また調査地点の数なども違うことから、歩行量の数値のみをもって優劣をつけることはできない。ただ、いずれの市も毎年同じ条件で調査しているため、時系列での検証は可能である。検証の結果、いずれの中心市街地も平成16 年と比較すると歩行量は減少していた。ただ、減少率となると静岡市の方が少なかった。静岡市の中心市街地が頑張っているということなのであろう。しかしながら、調査地点でいずれも歩行量の最も多い駅前付近では二つの市で様相が異なっている。静岡市では中心市街地全体の歩行量の減少に応じて静岡駅前の歩行量も減少しているのに対し、浜松市では中心市街地全体では減少しているのに浜松駅前での歩行量は同じか増加している。浜松駅前はそれだけ魅力があるということか。ただ、全体の歩行量は減っていることから、駅前だけで用事を済ませてしまっているという感も否めない。

歩行量調査では同じ人が同じ地点を何回も通っている場合もあるため、本当に街中に来た人数までは分からない。ただ、中心市街地全体で歩行量が減っているということは、街中に来る人数が減ったかもしくは何度も行き来する回遊性が低くなったということだ。新たな商業施設の誕生は中心市街地の存在感を取り戻す好機とはなるが、必ずしも中心市街地全体の活性化に結び付くとは限らない。より多くのお客さんを対象とする商売をされている方であれば、お店の前に人が通るようにするか、人が来るような魅力を見い出すか、人が通らなくても成り立つ商売を考えるか、もしくは人が通るところに移る必要がある。

グラフ:『浜松市・静岡市』中心市街地の歩行量

本稿は10 月20 日静岡新聞「目で見る浜松経済」掲載予定です。
静岡県西部地域しんきん経済研究所とは遠州信用金庫と浜松信用金庫が共同で設立したシンクタンクです。

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