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製造品出荷額等の推移

下の図は製造品出荷額等の推移を指数化(2003年=100)したもの。まず全国の指数(細い実線)をみてみると、リーマンショック前のピーク時には及ばないものの、2003年を上回る水準まで回復してきている。ところが、浜松市(太い実線)をみると、リーマンショック前はもちろん、2003年の水準と比較しても17ポイント下回っている。浜松と同じく自動車産業の割合が高い愛知県(点線)と比較しても、浜松市の回復の遅れが目立つ。

愛知県と浜松市の相違点をいくつか挙げてみると、まず愛知県の自動車産業は、輸出比率が比較的高いのに対し、当地域の自動車産業は消費地生産が進んでおり輸出比率が低いという違いがある。そのため、当地域はリーマンショック以降の輸出回復の恩恵をあまり受けていない。また近年、自動車部品に占める電装品の割合が高まっているが、それら電装品の域内調達率が愛知県よりも低い。さらにいうと、当地域は自動車に加え、二輪車生産も主要産業の一つとなっているが、リーマンショックを境に生産水準が切り下がっている。

つまり、当地域の中小製造業者の多くが携わる自動車・オートバイ関連産業の受注構造が大きく変化してきている。従って、循環的な景気回復を待っているだけでは、他地域と比較して回復感が乏しい状況が続くと思われ、中小製造業者も環境変化に対応するため、経営革新を余儀なくされつつある。

もっとも、経営革新の必要性を頭では理解していても、いざ実践するとなるとリスクも大きい。そのため、目先の対処療法で凌いでいる企業も多いと思われる。そうしたなか、国では平成25年度補正予算・平成26年度予算において、中小企業の経営革新を支援する制度を充実させている。これら制度を活用しリスク低減を図ることも有効な手段の一つといえる。

グラフ:製造品出荷額等の推移(2003年=100)

本稿は2月6日静岡新聞「目で見る浜松経済」掲載予定です。
静岡県西部地域しんきん経済研究所とは遠州信用金庫と浜松信用金庫が共同で設立したシンクタンクです。

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