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業種別の人手加不足感

しんきん経済研究所が行っている景気動向調査では、人手の過不足感についても調べている。下の グラフは、直近調査(2014年3月)と3年前の調査の人手過不足指数を比較したもの。指数は「過剰」の回答割合から「不足」の回答割合を引いて算出している。指数がプラス水準なら人手が過剰、マイナス水準なら人手が不足していることを表している。

グラフをみてみると、3年前の調査では6業種中3業種は人手が過剰だったのに対し、今年の調査 では全業種で人手が不足している。最も人手不足感が強い(指数の数値が低い)業種はサービス業。 サービス業は、3年前の調査でも人手が不足気味であった。昨今の景気回復に伴い、より不足感が強 まっている。

次いで人手不足感が強いのは建設業。建設業は3年前の調査では人手が過剰気味だったが、東日本 大震災の復興需要や公共工事が増大している地域に人手を取られ、当地域でも人手不足が顕著になっ てきた。長引いた建設需要の低迷で、熟練職人が減っていることも人手不足感を強めている。

現在幅広い業種で人手が不足気味になっているのは、景気回復に伴う短期的要因と、人口減少とい った中長期的要因が絡んでいるため。足元では前者の要因が大きいが、今後は後者の要因による人手 不足が深刻化する。近年、景気の変動に合わせ、必要な時に必要な人数を必要な期間確保できる仕組 みが整備されてきたが、働き手が減っていけば、その仕組みは通用しなくなる。

「人材を人財として育成しよう」と書かれたビジネス書が巷に溢れている。いつの日か“人財”は 当て字ではなく、正しい書き方になる日が来るかも知れない。

グラフ:浜松市民が花と緑に求めること

本稿は5月1日静岡新聞「目で見る浜松経済」掲載予定です。
静岡県西部地域しんきん経済研究所とは遠州信用金庫と浜松信用金庫が共同で設立したシンクタンクです。

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