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浜松市、パート社員の就職件数の推移

ハローワーク浜松管内の2014年6月の有効求人倍率は1.05倍。リーマンショック後0.3 倍台にまで落ち込んだ有効求人倍率は徐々に回復、昨年の11月にようやく1倍を上回り、現在まで1 倍台を維持している。
浜松管内の就職件数は2006年度まで順調に伸び10,000人を突破した。リーマンショックの前年の2007年度には10,000人を割り込んだが、2009年度には再び10,000人に戻した。ただし、就職件数には正社員のほかパート社員も含まれており、就職件数に占めるパート社員の割合をみた場合、2007年度の25%から以後ピークの2009年度には38%にまで上昇した。現在も35%前後にあり、ハローワークを通じて就職した3人に1人がパート社員である。この間、正社員にも増加はみられるが、正社員の就職件数は6〜7千人台を維持していることから、リーマンショック以後の就職件数の回復はパート社員の増加によるところが大きいと言える。
パート社員が増加したのはパート社員側にも企業側にも理由がある。パート社員にとっては家計の補助や家事との両立、中高年を中心とした自らの生活にとっての都合の良い仕事のスタイルと様々、止むを得ずパート社員という方もいるだろう。また、企業にとってはパート社員の比率を高めることで1 社員あたりの賃金を抑制する。経済環境の変化によって両者の生活スタイルや経営スタイルも少しずつ変化している。
昨今、人材不足が取り沙汰されるなか、一部大手企業が先行して非正規社員の正社員化を進めている。今後、当地域にとっても多くの産業で人材不足がより顕在化してくるようであれば、パート社員の雇用条件見直しや正社員としての募集といったパート社員の比率の上昇を抑制する方向に作用するであろう。地域経済が活性化するには正社員としての雇用や賃金が上昇していくことが望ましい。正社員を望む求職者が正社員になれるよう、労働環境を拡充し経済施策を後押ししていく必要があろう。

グラフ:浜松市の開廃業率

本稿は8月21日静岡新聞「目で見る浜松経済」掲載予定です。
静岡県西部地域しんきん経済研究所とは遠州信用金庫と浜松信用金庫が共同で設立したシンクタンクです。

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