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消費税率引上げによる駆け込み需要とその反動

下の図は、総務省「家計調査(2人以上の世帯)」をもとに、今年4月に行われた消費税率引上げ前後の消費支出増減をまとめたもの。まず駆け込み需要についてみてみると、浜松市の1〜3月の消費支出は前年比 7.8%増となった(3月に限ってみれば23.4%の大幅増)。駆け込み需要は発生しているものの、東海4県の県庁所在地と比較すると、増加率は静岡市に次いで低い(静岡市の-9.0%は入力ミスではない)。

次に反動減についてみると、浜松市の4〜6月の消費支出は前年比17.2%減と大幅な落ち込みとなっており、比較した都市のなかでは最も落ち込みが大きい。駆け込み需要と反動減の幅の大きさも、浜松市が一番大きかった。

なお、反動減の影響を月次で追ってみると、4月は21.3%減、5月は19.6%減と減少率が大きかったものの、6月は9.6%減と減少率が縮小、7月は5.8%増と税率引き上げ後初めて増加に転じ、8月も 7.3%増と堅調に推移した。今後、天候不順の影響や円安に伴う輸入物価の上昇により、消費支出が低迷する可能性は残るものの、駆け込み需要の反動減という要因に限ってみれば、その影響は6月までに一巡したといえよう。

年内には、来年10月に消費税率を10%に引き上げるか否かの最終判断が下される見込みである。仮に予定通り消費税率を引き上げるとした場合、「浜松市は消費増税の影響が近隣都市と比較して大きく、10 月引上げの場合は年末商戦に大きな影響を及ぼす懸念がある」という傾向を想定し対策を練る必要がある。

グラフ:消費税率引上げによる駆け込み需要とその反動

本稿は10月2日静岡新聞「目で見る浜松経済」掲載予定です。
静岡県西部地域しんきん経済研究所とは遠州信用金庫と浜松信用金庫が共同で設立したシンクタンクです。

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