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浜松版スマートシティ

先月(2015年6月)、「スマートシティ浜松」を目指すため、浜松市スマートシティ推進協議会(以下、協議会)が発足した。スマートシティとは簡単にいうと、「賢くエネルギーを利活用する都市」。浜松市は自然環境に恵まれ、太陽発電の導入件数が日本一(2014年4月時点)になるなど、再生可能エネルギーの導入が進んでいる。下のグラフをみると、浜松市が行っている市民アンケート回答者の76.4%が「新(再生可能)エネルギーの導入は必要」と回答しており、再生可能エネルギー導入に関する市民の理解度も高い。

一方、再生可能エネルギーは季節、時間帯、天候などに左右され、安定供給が難しいという弱点もある。そこで、エネルギーの需要と供給をIT技術でコントロールし、「エネルギーに対する不安のない強靭で低炭素な社会の実現を目指す」(浜松市スマートシティ宣言)というのが、協議会の狙いだ。

また、協議会では単に、効率的なエネルギー利活用を目指すだけではなく、プロジェクトを通じ、環境・エネルギー分野の新技術・新製品開発などの産業振興を目指す他、医療・福祉介護分野などの派生ビジネスへの展開を視野に入れるなど“産業都市浜松”ならではの相乗効果も狙っている。そのため、協議会には新たなビジネスチャンスを見出そうと、多様な業種の民間事業者が参画している。

東日本大震災後のエネルギー政策の転換という「時の利」に加え、浜松市は、国土縮図型都市という「地の利」、市民の理解度・民間企業の参入意欲という「人の利」も揃っている。協議会の取り組みが「浜松モデル」として注目され、全国各地に展開していくことを期待したい。

浜松版スマートシティ

資料 浜松市第41回市民アンケート調査報告書

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