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従業員 数別の新規採用状況

近年、いくつかの大手企業や各地で人手不足に関するニュースを目にするようになった。当研究所が四半期ごとに発行している直近の景況レポートでも、ほとんどの産業で人手不足と答える企業が人手過剰と答える企業を上回っており、浜松地域の中小企業においても人手不足の問題は顕在化しつつある。 当研究所が景況レポートと併せて実施した浜松地域の中小企業における採用状況をみると、今春に新規採用を実施した企業の割合は23%、採用しないは77%となり、4社のうちの3社は新規採用しない方針であることが分かった。ただし、これを従業員数ごとにみると、傾向は異なる。10名以下の企業では新規採用する割合が1割に満たないのに対し、11〜50名では1割から3割程度となる。さらに、50名を超える企業では半数を超え、100名超になると約8割もの企業が新規採用を実施することが明らかとなった。従業員数が多い企業ほど、新規採用を積極的に行なっていることが分かる。

一方、新規採用しない理由をみると、新卒社員が欲しくても人が集まらないという企業は1割に満たず、9割以上がそもそも新規採用を計画していない。人手は不足しているとしながらも、新規採用にはなかなか踏み切れないというのが、多くの中小企業の実態である。

規模の小さい企業ほど、新卒社員を一人前に育てることへの負担は大きくなることから、即戦力として期待できる中途採用が新規採用よりも優先されるのは止むを得ないことだろう。ただし、今後は人口減少が進む中で、人手不足はより深刻になると懸念される。現状の経営を乗り切ることは当然大事であるが、中小企業にとっても中長期的な視点に立った経営戦略とそれに基づいた採用計画が求められよう。

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