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浜松新電力とイノベーター理論

浜松市は、再生可能エネルギーの地産地消を推進する新電力会社「株式会社浜松新電力」を8社と共同出資し設立した。当面は市内小中学校や給食センターなどの公共施設へ供給する計画だが、将来的には一般家庭への販売も視野に入れている。

浜松市が 6 月に行った市民アンケートで「一般家庭の電力小売り自由化が始まった場合、新電力から電力を購入しようと思うか」たずねたところ、「自由化後すぐに購入したい」(0.9%)と「最初に変えた 人の様子を見てから購入したい」(11.7%)は少数意見にとどまったが、「条件が合えば検討したい」と回答した人が 64.5%あり、これらを合わせた 77.1%の人が新電力に関心を寄せている。

マーケティング用語の一つに「イノベーター理論」というものがある。商品購入の態度を新商品購入の早い順に、1「革新者」(新しいものを進んで採用する人 全体の 2.5%)、2「初期採用者」(流行に敏感 で情報収集を自ら行って判断する人 全体の 13.5%)、3「前期追随者」(比較的慎重な人 全体の 34.0%)、4「後期追随者」(比較的懐疑的な人 全体の 34.0%)、5「遅滞者」(世の中の動きに関心が薄い人 全体の 16.0%)の 5 つに分類している。市民アンケートの結果に当てはめてみると、割合は若干異なるが、「自由化後すぐに購入したい」が1、「最初に変えた人の様子を見てから購入したい」が2、「条件が合えば検討したい」が3と4の合計、「購入しようとは思わない」が5とみなすことができる。

イノベーター理論によると、革新者と初期採用者を合わせた層に普及した段階で、新技術や流行は急激に拡がっていくといわれている。新電力会社が「市民の電力会社」として親しまれるためには、「自由化後すぐに購入したい」「最初に変えた人の様子を見てから購入したい」人に普及し、「条件が合えば検討したい」人に拡がるかどうかが鍵となろう。

図表 浜松新電力とイノベーター理論資料 浜松市「第42回市民アンケート調査」をもとにしんきん経済研究所作成

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