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うなぎのかば焼き購入金額日本一

総務省がまとめている家計調査によると、浜松市の1世帯(2人以上の世帯)当たりの「うなぎのかば焼き」年間購入金額(平成27年)は、6,069円で、他都市を大きく引き離し日本一となった。しかも、日本一は浜松市が政令指定都市に移行し、調査対象都市となってから8年連続で、“うなぎといえば浜松”という地域ブランドイメージの根拠の一つとなっている。

もっとも浜松市を含む静岡県のうなぎ生産量は減少傾向にあり、生産量の日本一は長らく鹿児島県となっている。ところが、鹿児島市のうなぎのかば焼き年間購入金額をみると2,251円と全国平均をやや下回っている。家計調査の購入金額には外食等は含まれていないため、その結果だけで判断するのは禁物だが、鹿児島産うなぎは一次産品の産地ブランドにとどまっているようだ。

一方、浜松市は家庭での購入金額が日本一であることに加え、多くのうなぎ料理専門店が立地し味を競い合っている。さらには地元民間企業が販売しているうなぎに関連する土産品・加工品も充実しており、産地としての勢いが失われても、地域ブランドイメージは維持し続けている。

今風にいえば、“地産地消”“6次産業化”“農商工連携”等の成功事例といえる(もっとも最近では地産のものは少なくなってしまったが…)。ただし、“うなぎといえば浜松”というブランドイメージは用語や制度ありきで計画的に築き上げられたわけではない。「地元で愛される食材」「そこにビジネスチャンスを見出そうとする意欲的な民間企業」の2つが揃っていれば、プロジェクトを立ち上げなくても、地域ブランドは自然と育っていくのかもしれない。

図表 うなぎのかば焼き購入金額(上位5市と全国平均)
出所 総務省家計調査をもとにグラフ作成

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