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各産業の地域に与える影響力

RESASリーサス(地域経済分析システム)は地方自治体の様々な取り組みを情報面から支援するため、“まち・ひと・しごと創生本部事務局”が産業構造や人口動態、人の流れなどのビッグデータを集約し、それをグラフや表などで可視化したシステムである。

その中の「影響力係数」「感応度係数」という2つの係数の相関関係によって産業ごとの地域への影響力を判定することができる。影響力係数とは特定の産業が他の産業に与える影響力の大きさを表し、また、感応度係数は特定の産業が他の産業から受ける影響力(感応度)の大きさを表す。いずれの値も平均値は1であり、1を超えると与える影響力、受ける影響力は大きいと言える。

まず、不動産業や公務は影響力係数と感応度係数がいずれも1以下であるため、各産業に与える影響力も、また各産業から受ける影響力(感応度)も少ない産業である。つまり、この枠に当てはまる産業はあまり景気に左右されない産業であり、製造業の中で安定的な食料品製造業もここに当てはまる。輸送用機械産業は各産業に与える影響力が非常に大きい産業である。

なぜなら輸送機械は完成品に至るまで様々な材料が使われる裾野の広い産業であるとともに、関連企業もその地域に集まるからである。
一方でサービス業や運輸・通信業は他の産業の影響を受けやすい産業となる。つまり主体的に景気をけん引するのではなく、間接的に景気の影響を受けやすい産業である。

浜松市は今まで輸送用機械産業に支えられてきたが、海外での現地生産が進む中いつまでも輸送用機械産業に頼っていられないとの声もある。しかしながら、与える影響力が大きく、地域に関連産業も集積し、かつ生産額も大きい輸送用機械産業に替わる産業などそうそう無い。愛知県を中心とした航空宇宙産業やグーグルを始めとした自動運転技術への参入、環境への技術力向上など、地域の特色を活かして輸送用機械産業の裾野をより広げていくことも大切である。

図表 浜松市における主要産業の影響力係数および感応度係数
出所 経済産業省

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