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従業員規模別にみた業況感

しんきん経済研究所がまとめている景気動向調査によると、浜松地域中小企業の業況DI(9月)は3.8と平成17年12月以来、ほぼ12年振りにプラス水準となった。“業況DIがプラス水準”と書くと難しく感じるかもしれないが、要は“景気が「良い」と感じている企業が「悪い」と感じている企業を上回っている状態”のこと。日経平均株価も約20年振りの高値圏内にあり、国内及び浜松経済は非常に良好な状態にあるようにみえる。

ただし、中小企業の景況感が押しなべて良好なわけではない。下のグラフは、従業員規模別の業況DIを比較したもの。グラフをみると、従業員規模が大きいほど景況感も良好なのがうかがえる。従業員100人以上の企業の業況DIは26.5と極めて良好な数値である一方、10人未満の企業は依然マイナス水準を脱し切れていない。今回の景気回復局面では、大企業の業績が拡大すれば、いずれ中小企業にもその効果は滴り落ちてくるというトリクルダウン効果が期待されていたが、小規模企業にまではその効果は及んでいないようだ。前述の日経平均株価も日本を代表する225社で構成されている指標で、潤っているのは大企業だけという見方もできる。

ではどうすればトリクルダウン効果が小規模企業にまで浸透するのだろうか? 疑問の答えになっていないが、今後もトリクルダウン効果が浸透することはないだろう。よって、仕事は滴り落ちてこないことを前提に自らチャンスを見つけていくしかない。仮に仕事が滴り落ちてくることがあったとしても、それはコスト勝負の利幅の薄い仕事の可能性が高い。

小規模企業の場合、ホームページの改善、商談機会の提供、自社の商圏の把握などちょっとしたヒントを与えれば伸びていく企業も多い。現在は、地域金融機関の企業支援体制が充実しているし、商工会議所・商工会も、企業と伴走しながら支援する制度の認定を国から受け(経営発達支援計画)、小規模企業支援に力を入れている。そのような仕組みを上手く活用しながら、自らチャンスを見出して欲しい。

図表 従業員規模別の業況DI
出所 しんきん経済研究所作成

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