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コロナ禍における製造業の生産動向

2020年9月17日

下のグラフは、今年に入ってからの品目別の鉱工業生産指数の推移をまとめたもの。鉱工業生産指数とは、国内の鉱工業の活動状況を総合的にみる指標で、2015年を100として指数化している。グラフでは全体に加え、当地域に産業が集積している軽乗用車、二輪自動車(125ml超)、ピアノを抜き出した。

まず 鉱工業全体をみると、1月の99.8が5月には78.7にまで低下。5月を底に7月には86.6まで回復している。コロナ禍で大幅に落ち込んだ品目がある一方、家電関係や産業用部品など、比較的堅調だった品目もあり、均してみれば5月の底でも2割程度の落ち込みにとどまった(もっとも、平時ならば本指数は大きく変動するものではなく、2割の落ち込みというのは記録的な落ち込みである)。

次に、軽乗用車、二輪自動車、ピアノの3品目をみると、いずれも5月を底に回復傾向にある点は共通だが、17月の生産活動はそれぞれ異なっている。軽乗用車は、3月までコロナの影響をほとんど受けていなかったが、4月に急落、5月には46.2とコロナ前と比較して約半分の生産水準となった。その後、急回復し7月は100.2と1月(90.1)と比較して1割程度高い水準まで回復した。

ピアノも、3月までの落ち込みは小幅だったが、4潤オ5月にかけて指数は急落、6月以降は急回復している。ただし、1月(112.6)と比較すると7月(86.2)は8割弱の水準にとどまっている。最も回復が遅れているのが二輪自動車。5月は29.8と1月(108.6)と比較して3割弱の水準に落ち込んだ。その後の戻りも遅く、7月も1月比半分程度の水準にしか回復していない。

コロナ感染防止と経済活動の両立が求められる現在は、7割経済とも8割経済(平時の7潤オ8割の経済水準)ともいわれている。しかも、経済活動が収縮するなかで、業種、企業間の格差は広がっている。文中、「回復」という文字を用いているが、これはコロナ前の状態に戻ることを意味していない。需要の回復を待っているだけではなく、コロナ後を見据えた経営戦略を実行していく必要がある。

図表 品目別の鉱工業生産指数 2015 100
出所: 経済産業省「鉱工業生産指数」をもとにしんきん経済研究所 加工

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