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上昇する最低賃金を見据え経営改善を

2023年9月21日

今年の8月、全国の最低賃金が発表され2023年全国加重平均額は1,004円(昨年は961円)となった。最低賃金の対象は、非正規社員(パートやアルバイトなど)・正規社員に関係なく、すべての労働者とその使用者に対して適用される。
静岡県のグラフを見ると2020年を除く2016年から2021年までは上げ幅20円台で推移していたが、2022年は31円で2023年が40円の引き上げとなった。40円は過去最大の上げ幅である。最低賃金が800円台から900円台となるのに5年かかったが、来年1,000円台となれば、3年で100円増加したことになる。隣県の愛知県は今年1,027円(41円増加)となり、静岡県も次回の引き上げ時には1,000円を上回ることが予想される。

今年5月、新型コロナウイルス感染症の位置づけが「5類」へ移行したことで、旅行やイベントなどが盛んになり、サービス業を中心に経済活動が活発となった。コロナ禍で減少した労働力を補うため、求人を増やす必要に迫られているが、最低賃金の上昇は企業の負担増加となり、収益を圧迫する要因となっている。収益の圧迫を解消するには、売上増加や経費削減による収益力の向上が不可欠である。売上増加には人件費は上がるが人材育成による個人の能力の引き上げや、収益力向上にはデジタル化等に伴う業務効率化が必要だろう。今後ますます上がるであろう最低賃金を見据えた上で利益確保できる経営体質に改善していくことが求められている。

 

 

図表 静岡労働局資料をもとにしんきん経済研究所作成
出所:静岡労働局資料をもとにしんきん経済研究所作成

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