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交通事故ワースト1を脱出するには

2024年1月18日

浜松市交通事故防止対策会議事務局の発表によると、2022年の人口10万人当たりの人身交通事故は、651件であった。この数値は、政令指定都市の中でワースト1であり、14年連続でワースト1の不名誉な記録となった。事故件数自体は5,094件(前年比281件減)と減少傾向にあるが、いずれにしても、交通事故リスクが高い都市であることは間違いない。

では、なぜ浜松市で人身事故が多いのか?まず、環境要因を挙げると、第一に公共交通機関の利便性が低いことである。第二に、浜松市は、道路の実延長(実際に道路として供用されている距離)が政令指定都市の中で一番長い(8,500km超)ことである。その結果、通勤・通学の移動手段は車や自転車に頼らざるを得ず、一世帯当たりの自動車保有台数が1.5台と政令指定市の中で一番多くなっている。また、交通ルールを軽視するドライバーの存在や高齢者の関係する事故の多さも課題となっている。

もちろん、浜松市も手をこまねいていたわけではない。2022年度18億円以上の予算をつけて、事故データに基づく交通事故削減効果の高い対策、通学路等の生活道路の安全対策や交通事故の危険性が高い交差点における事故削減対策を実施することにより、交通事故ワースト1からの脱出を図ってきた。

今後の対策だが、特効薬はないので、地道にやるしかない。第一に、ソフト面では交通安全運動、教室、インパクトのある広報活動が大切である。また、AIを使った交通事故分析も有効であろう。2023年9月、浜松市は交通事故の危険度が高い場所を公開している。第二に、ハード面として事故多発地帯の徹底的な改良をすることである。第三には、実験として車を使用しない通勤日や時間帯の設定など、市民を挙げて協力体制を構築することも必要かもしれない。最後に、一番大切なのは市民の交通安全意識を高めることであり、年始から安全運転をすることによって、今年こそワースト1を脱出したいものである。

 

図表 65歳以上の就業率上位6市
出所:浜松市交通事故防止対策会議事務局の資料をもとにしんきん経済研究所作成

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